泣いて笑って夢見る明日

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とびきりおしゃれな大人のコメディ~舞台「カクタス・フラワー」レポ

11月10日に開幕した舞台「Cactus Flower」を観劇してきました。日頃ジャニーズ舞台ばかり見ているのでストレートプレイは何となく苦手で、途中寝てしまったらどうしようという不安も少しあったのですがそんな心配は120%無用。笑って笑って笑ってだんだん登場人物ひとりひとりがなんだか愛おしくなる。最後には自分の近くにいてくれる人を大事にしようと思えるようなとっても素敵な舞台でした。

 

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作品のあらすじ

舞台はNY。中年の歯科医ジュリアンは、家庭を大切にする誠実な男である事を証明するため、既婚者を装い、若い娘トニと交際している。ある日彼女から、「奥さんに会いたい」と迫られたジュリアン。
堅物の独身看護師ステファニーを、急遽妻に仕立てるが……。
往年の名女優イングリッド・バーグマンとウォルター・マッソー、ゴールディ・ホーンが共演した映画版でもおなじみの、コメディーの王道を往く作品だ。

小さな嘘と思わぬハプニングが連鎖しながら、ワケありのユニークな登場人物たちが繰り広げる爆笑篇。今回の翻訳上演は、ミュージカルからプレイまで幅広く手掛ける、板垣恭一が演出を務める。
そしてキャストは、水夏希、吉田栄作、増田有華、松本幸大(宇宙Six/ジャニーズJr.)、松尾伴内、青木さやかと、6名の個性派が顔を揃えた。

どこか懐かしい正統派コメディーでありながら、人間の愚かさ、愛おしさを見事に描き、古さを感じさせない『カクタス・フラワー』。快テンポのストーリーに人生の機微を滲ませ、観客を魅了する楽しい舞台に仕上がる事だろう。 

(公式サイトから引用)

www.stagegate.jp

 

全体の感想

約50年前のアメリカの傑作コメディのリメイクになるこの舞台。原作映画も拝見しましたが、70年代アメリカのオシャレな雰囲気がそこかしこに漂っていてとにかくおしゃれ。吉田栄作さんのスマートな立ち振る舞い、水夏希さんのくるくる変わる魅力的な表情、増田有華さんの愛くるしい存在感。ちょっと背伸びして憧れのセレクトショップに訪れているような、そこで素敵な小物を見つけてワクワクしているような、そんな女性の琴線にガンガン触れてくる。

 

お話の内容はすごくわかりやすいです。一人の男が自分の弱さから付いた些細な嘘。その嘘がきっかけで嘘に嘘をどんどん重ねて状況がどんどん複雑になっていく。もうこれ以上こじれようがなくなった時にふわっとその糸がほどける瞬間がとても気持ちいい。全力で拍手したい気持ちになる。登場人物みんなが幸せになるエンディング。笑顔で劇場を去れること間違いなし。

 

この作品は社会人以上で大人の楽しみ方を知っているような方にぜひ見てほしい。自分の大事なもの、愛する人、身近にありすぎて気づかないような優しさを思い出し、心がポッと温かくなる作品です。

ナベプロ(栄作さん、青木さん)、宝塚(水さん)、AKB(増田さん)、ジャニーズ(幸大くん)、たけし軍団(松尾さん)と芸能界大手事務所からバラエティ豊かな経歴を持つ芸達者達が集合したこの舞台。それぞれの得意分野を生かして6人全員が舞台上で伸び伸びと動いています。

宝塚×AKB×ジャニーズのダンスバトルが見れるのはこの舞台だけ!(いまは)。みんな結構しっかり踊ります。一番踊っているのは幸大くんです(笑)

 

※ここから先はネタバレを含みます。ネタバレ回避したい方はご注意ください。

 

愚かな男達と情感豊かな女達

ジュリアン(吉田さん)もハーヴェイ(松尾さん)もほんっとしょーもない男なんだけど、どこか可愛くて放っておけない。自分では完璧なつもりでも実は気づかないところで女性がフォローしているのが「あるある」で笑ってしまいました。

ステファニー(水さん)がジュリアンを語るシーンで「小心者で理想主義者で…バカな人」という言葉にステファニーの情の深さを感じ、ただでさえ魅力的なステファニーが一気に大好きになりました。トニ(増田さん)の決断を聞いてステファニーが「賢い子ね」というところも女同士しか分からない暗黙の絆がいい。ステファニーとトニはタイプは全然違うけど、同じジュリアンという愛すべき弱虫を好きになった者同士、何か通じるものがあるんだろうなあ。わかる、すごいわかる。

 

女性キャストが魅力的

「セクシーなの?キュートなの?どっちが好きなの?」と聞くのはかつてのあややですが、水さん演じるステファニーと増田さん演じるトニがどっちもすっごく素敵。女性陣を見るためだけに8000円払っても惜しくない。水さんは堅物看護師の融通の利かなさそうな雰囲気も超ハマってるしそこから少しずつ花が開くように美しくなっていく姿に惚れ惚れしてしまう。ブラックとブルー、2着のドレスを着るシーンがあるけどどちらも立ち姿が美しくてただただ憧れる。少し居心地悪そうにしているところがかえってステファニーが秘めている恋への憧れや女性としての魅力を際立たせていてたまらん。ステファニーの私服もおしゃれで赤ツイードのセットアップスーツ姿なんてパリの街角にいるモデルさんかな?ってくらい様になっている。ステファニー!好き!(急な告白)

 

トニはまだ若くて恋に恋しているような女の子。ジュリアンのことも年上のスマートな男性に憧れている様に見える。映画版ではゴールディ・ホーンがそれはそれはとってもキュートで。ジュリアンがそのかわいらしさにメロメロになっているのが分かるからトニの発言にいちいち振り回されるのも説得力があった。これは増田さん大変だ、と幕が開く前は思ってました。

増田さんのトニはゴールディ・ホーンのようなスタイルでグイグイ持っていく感じも、コケティッシュさも無いですが、キラキラ光る瞳とくるくる変わる表情に目が離せない。若い人しか持ちえない生命力がそのまま彼女の魅力に変わっている。物語が進んでいくうちに夢見がちだった少女が女としての強さを見せるようになる変化にゾクゾクします。

 

とにかくずっと笑える

ジュリアンが付いた嘘のせいで登場人物が少しずつ違う解釈で状況を捉えているから、Aの意味で言った言葉がBの意味で受け取られたり、シーンが進んでいるように見えてちょっとずつズレている。真実を知っているのは観客だけなので1シーン1シーン進むごとにその可笑しさにずっと笑ってる。本人たちは超必死。でも結果的にどんどんズレていく面白さ。インタビューで役者さん達も話していましたが、コメディの間の取り方ってすごい難しいんだろうなあと思います。それを違和感なく物語として成立させている時点で舞台の上の役者さん達の技術の高さがわかる。

 

その面白さに大きく貢献しているのが松尾伴内さんと青木さやかさん。お笑い出身だけあって空気の持って行き方がうまい。ストーリーに影響しない程度にアドリブをどんどん入れてくるバランス感覚はさすがです。この2人が出てくると「何か面白いことが起きそう」と期待しちゃう。また、二人が違う方向でのお笑いセンスを持っているので舞台に奥行きが出ている。

 

キャスティングが完璧

映画版原作を見ましたが、この舞台がすごいのは「このキャスト以外あり得ない」と思うくらい全員がハマり役なこと。昔からモテモテで独身貴族を謳歌してるヘタレイケメンは吉田栄作さん意外に考えられないし、水さん、増田さんも前述したとおり。松尾さん、青木さんもこの二人にしかできない役だと思います。お二人の役は原作にも出てくるのですが、それを上手に自分色に変更していてなんなら原作より面白い。

 

影の主役、松本幸大

ここに来てやっと幸大くん登場。幸大くん演じるイゴールは誰に対してもまっすぐで裏表がなく、嘘に振り回される人々の中で唯一その嘘にほとんど巻き込まれない人。だからかイゴールが出てくると一種の清涼感というか、物語が次の段階に入るんだなという箸休め的な雰囲気を持っています。そういう意味でイゴールはこの物語を土台で支える存在。

劇作家を目指しているけど芽が出ないという中途半端なインテリ感、トニを気にいっているけど執着はしていない日和見主義なチャラさ、こっちの都合で動いてくれる適度なフットワーク、根底に優しさと男らしさがあるイゴールという役。

そして合間に挿入される観客参加型アメリカンスタイルラッパー役と、やたらターンを決めるゲイ疑惑のあるウェイター役は舞台強さと身体能力が必要。

主役を食わない程度にメインで活躍できる。ジャニーズという看板と適度に箱を埋められる人気。若くも中年でもない年齢と、華やかすぎない華。

この役は幸大くんに来るべくして来た、まさにはまり役。

 

オーディションなのかオファーなのか。どうして幸大くんにこの役が来たのかは分からないけど、キャスティングした方は本当に見る目があると感心してしまいます。

 

幸大くんみどころ

まさに「松本幸大・満漢全席」かってくらい出ずっぱりで舞台を盛り上げている幸大くんの個人的みどころをまとめます。

<イゴール編>

冒頭での人口呼吸からのキスシーン。

トニが寝た後、急にイケボでささやく「OKいい子だ。ゆっくりお休み。」

パンイチタオルで登場。腸腰筋と背中の筋肉群の盛り上がりがはっきり見える。しかし首にかけられたタオルが前で止めてありなぜかTKBはNG。

トニ(増田さん)とのペアダンス。女性をリードしている珍しい姿が見れる。増田さんダンスキレッキレすぎる。

年上女性(水さん)との密着ダンス。「年齢なんて関係ない。十分セクシーだ」「駆け落ちして君の年金で暮らそう」。そして首筋に!キッス!そのまま一夜を…おぉぉ…。

ピンクのバスローブ姿なのにやっていることがイケメンすぎる。

トニ(増田さん)とのリアルハグ。トニから抱き着かれてどうしていいかわからず泳いでる手がかわいい。その後の手を背中に回してギュ~っとHUG!!

 

<謎のラッパーマイケル松本編>

急な通路登場(15番~16番通路を歩き、舞台下の階段付近で客席を煽る)

マイケル松本とイザベラ青木が交わす愛の言葉(急なイケボ)「愛してる?」「I need you」

「女神ぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ~」なぜか早口言葉(アレンジver,)のC&R。幸大くんが噛まないよう祈るのに必死で返すタイミングを逃すオタク。

 

<やたら存在感をアピールするウェイター>

移動は歩きではなくターン。たまに手ぶりが入る。ハーヴェイ(松尾さん)がお気に入りのようでハーベイのほっぺをつんつんしたり投げキッスを飛ばしたりする。ストーリーに全く絡まない、ただ観客が笑うことだけに全力をかけている謎のはっちゃけウェイター。

トレイにグラスを乗せたまま手元で回転させる芸が地味にすごい。

 

<全体>

終始顔がいい。どんなにコスプレしても顔がいい。背中から漂うモテ男感。

 

まとめ

幕が開くまでは舞台の内容が未知すぎてどれくらいチケットを確保すべきか考えあぐねいてましたが、まさかこんなに面白いとは。CATプロデュースさん宣伝下手か(すいません)。初日の段階でリピーターチケット含めまだチケットが手に入る状況でしたが、SNSを見てると幸大担以外にも水さん、増田さんファンが観劇した後に続々とチケットを追加入手しており内容の満足度が高いことが分かります。

カクタスフラワーを見て、ミュージカル(ジャニカル含む)はどれだけ歌や踊りに助けられてたのかを実感しました。乱暴に言ってしまうと、観客があんまり理解してなくても歌の高揚感やダンスの迫力があればごまかせる部分もあったんだなあと(もちろんミュージカルはミュージカルの良さがあります)。

タイミング良く入る歌やダンスに助けを求めずに、6人の演技力と技術力だけで観客を全く置いてけぼりにせず、むしろ笑いに巻き込むことができる。ストレートプレイの新たな魅力を知ることができる舞台です。

仕事や人間関係でちょっと嫌なことがあった時、ちょっとだけ寄り道をして帰りたい、なんて時にフラッっと青山に立ち寄り、素敵な大人たちが繰り広げる上質なコメディを見て明日への活力にしてほしい。そんな、肩肘張らずに楽しめる舞台です(当日券あります)。

あなたの手帳の中に彼らの人生をちょこっと覗く時間を組み込んでみませんか。