主催が悪い、劇場が悪い、役者が悪い、観客が悪い。
毎日のように犯人捜しをするようなニュースを見るたび、いち観劇ファンとして胸を痛めています。
慎重に慎重を重ねて催行した舞台が、結果的に中止になるどころか非難のやり玉に挙げられるなんて、どの立場だとしても辛いことです。
7月に入り様々な舞台が始まりました。私も都内在住なのをいいことにこれまで4つの舞台に足を運びました。その中で、劇場に行こうとしている観劇ファンが何を気を付ければいいのかを考える機会が多くあったことをきっかけに、いち舞台ファンが劇場に通って思った「いま舞台・観劇ファンができること」をまとめてみました。
1.体調管理は観劇前から
コロナウイルスに罹患しても無症状であったり、倦怠感や発熱を短期的に発症するということはニュースでもよく目にします。観劇前から体調に変化はないか観察し、できれば毎日体温測定をして体調管理を行います。良く食べ、良く寝て免疫力をあげる。もちろんこまめな手洗いうがいは必須です。
2.少しでも不安があればあきらめる勇気を
なんだか調子が良くない、風邪の前兆な気がする、疲れが取れない、身近に陽性者がいる等、少しでも不安がある時は観劇をあきらめる勇気をもつ事も大切です。贔屓の役者さん、好きなカンパニーが今後も活動を続けていくために、その勇気が力になります。
払い戻しを受け付けている公演であれば、払い戻しにできる。ただ、もし身近にその公演を見たいという方がいれば、ぜひチケットを譲ってください。払い戻しをすると購入者が手数料を負担するだけでなく、主催者も手数料を負担することが多いです。更に、払い戻ししたチケットが当日券に回らずに空席にしかならないという公演もあります。
チケット譲渡に関しては各公演で規約が違うので、事前に確認をお願いします。
紙類は感染力を持ったウイルスが付着したとき、3時間後には検出されなくなったという報道がでています。
新型コロナウイルス、モノの表面にはどのくらい残り続ける?──実験結果 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
ビニール袋にチケットを入れて消毒した手で郵送し、開封後3時間は触らないようにするなど工夫すれば受け渡すことができると思います。
3.交通手段は混雑回避を
普段、乗り慣れない交通機関を、慣れない時間帯に乗ると思った以上に混雑していることがあります。時間に余裕を持ち、迂回してでも混雑を回避する交通手段で劇場に向かうようにしています。たとえば混雑する急行列車は避け鈍行列車で向かう、比較的空いている先頭車両や後方車両を利用するなどの工夫ができます。
4.可能であれば不織布マスクを
劇場に行く人は必ずマスクを着用しますが、可能であれば不織布マスクを着用するといいそうです。
下記リンクの情報によると「密リスクが高い予定の日」は不織布マスクが推奨されています。飛沫のブロック率も不織布マスクの方が高いです。
夏マスク、どう選ぶ? 「密リスクが高い日は不織布を」 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
不織布マスクは使い捨てが基本なので、劇場に入る前、劇場を出た後、などこまめに交換できるとなお良いと思います。もちろん、交換する時は察式消毒などで手を綺麗にしてから新しいマスクをつけましょう。
マスクがずれている方もたまに見かけます。正しい着用の方法で自分と劇場を守っていきたいですね。
5.対策の基本は「触らない」こと
電車のつり革、手すり、劇場のカウンター、ドアノブ等、まずはできるだけ「触らない」ことを心がける。「触らない」を意識すると「触った」ことにも敏感になります。もしも「触った」ことに気づいたら他の場所に触れる前に手洗いまたはアルコール消毒をします。ハンディタイプの察式アルコール消毒は常に携帯しておきましょう。
6.アルコール消毒とハンカチを携帯する
上記と重複しますが、どこで何を触るかわかりません。物販でのお金のやりとり、もしかしたらの身分証明、床に物を落としてしまった…等、不測の事態でもウイルスを広げない、貰わないためにこまめに消毒を。市販の察式消毒製品はエタノール濃度が極端に低かったり、記入がないものもあります。最低でも50%、できれば70%程度のエタノール濃度の察式消毒液の使用をおすすめします。
使用濃度としては60~90w/w%が適当であるが、70w/w%(消毒用エタノールの濃度である76.9~81.4vol%にほぼ等しい)において一般細菌に対して最も効果が高い。ただし結核菌を含む細菌とエンベロープを有するウイルスに対して50vol%程度でも効果がある25~27)。揮発性が高いため、乾きが早く使用しやすい。
(参考サイト )Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 | 1)アルコール系
察式消毒は適切な使用量があるので1回の使用量も守りましょう。指先にちょこっとつけてサッサッだけだと効果がほとんど効果がありません。
劇場内トイレのハンドドライヤーは飛散防止のために使用できません。紙ペーパーも衛生上置いていないことが多い。清潔なハンドタオルやハンカチを持参し、手洗い後の水分があちこちに飛ばないように気を付けます。
7.劇場内に入ったら話さない、溜まらない
帝国劇場や国際フォーラムのようなロビーの広い会場でも、立ち止まり話す人がいるとその人達を避けて他の人が通行するので導線が狭くなります。トイレや物販に向かう人とのソーシャルディスタンスを保つためにも、入場したら留まらずに目的だけ果たして客席に向います。
知人と会う予定がある人は会場外の別の場所でお話ししてから来るといいと思います。
観劇した某舞台では開演30分前に開場しても、密にならないように観客がロビーの様子を見ながら少しずつ入場していました。トイレも外で済ませて会場内にとどまらない工夫をしていて舞台への想いを感じる風景でした。
8.客席内でも話さない
前後左右を空席にしている劇場もあれば、椅子の配置自体に間隔を空けている劇場もあります。
コロナウイルスの感染経路の一つである飛沫感染は、くしゃみや咳によるしぶきによって他者へ感染をさせてしまいます。このくしゃみや咳によるしぶきが到達する距離が、くしゃみで3m、咳で2mといわれています。この距離も加味して厚生労働省では、保つべき距離として相手との距離を2m程(最低でも1m)取ることを推奨しています。2mがどのくらいの距離感であるのかが分かりにくい方もいらっしゃるかもしれません。2mとは、互いに手を伸ばして届く距離がだいたい2mであるとしています。
(参考サイト)
新型コロナウイルスに関連する3密、ソーシャルディスタンスとは?クリニックフォアグループの医師が解説します。 | CLINIC FOR
正直なところ7月に観劇した全ての劇場で左右の観客と2mの距離がある劇場はありませんでした。だからこそくしゃみ・咳はもちろん会話など飛沫を飛ばす行為はしたくありません。用事が済んだら客席内でパンフレットを読む、劇場の空気を楽しむなど一人時間を満喫しましょう。
そういえば、ほとんどの劇場で開演前でも舞台セットが見えるようになってたのは、待ち時間に観客が楽しめるように考えられてたのかも。
あと、全ての劇場が開演前のアナウンスで感染対策や観劇についてのお願いを伝えていました。劇場によって内容が違うのでしっかり聞きましょう。
9.密を避けて帰る
劇場によって規制退場だったり、座席でゆっくりしていいからロビーが空いたら帰ってね、と案内されたりいろいろでした。開演前のアナウンスで退場時の案内があるのでそれに従いましょう。いつもの癖なのか、終演後すぐに退出しようとして観客が出口のドアに集中し密になっている風景がありました。用事がある人は仕方がありませんが、終演後も時間に余裕を持っておくといいと思います。某劇場の規制退場では最後列の人は終演後10分後に退場の案内がありました。
帰りももちろん劇場内では話さない、溜まらない。
そして、ここから2週間が勝負です。「あの舞台で感染者が発生したぞ」とならないために。そして「舞台行った人が他の人にばらまいた」とならないように。万が一自分が劇場でウイルスを貰ってしまったとしても、それを他の人に移さないよう細心の注意で行動することが大切です。その2週間が推しを守る。
10.楽しむ気持ちを大切に
ここまであれをしろ、これをしろと言い続けてきましたが、一番大切なのは「舞台を楽しみたい」という気持ちだと思います。好きなカンパニー、劇場、役者のためになるならやる。好きだから面倒くさいことも頑張れる。そんな気持ちなら感染対策も前向きに取り組めるのではないでしょうか。
最後に
舞台が楽しみで、どんな演出かな?衣装かな?音楽かな?と想像してワクワクして。何日も前から準備して。当日にやっと見れた!嬉しい!楽しい!また見に来たい!
そんな気持ちが今後の舞台を支えていくと信じています。感染対策はひとりひとりの意識で大きく変えることができます。小さなことを大きな愛をこめて、いち舞台ファンとして今できることをコツコツと実施していきたいです。