宇宙Sixは今年の4月に5人になった。
たくさん悩み、たくさん話し合い、5人で進むという道を選んだ。
5人になってから初めてのコンサート。
Summer Paradise2018は宇宙Sixにとってもファンにとっても大事な意味のある公演だった。
思えば今年の4月から宇宙Sixは仕事に恵まれていた。
・丁寧に育てられ宇宙Sixの武器である殺陣とオリジナル曲まで貰った「スクアッド」。
・再出発という節目にメインバックでつかせて貰い一部演出・振付まで参加したKAT-TUN「UNION」。
・「ジャニーズJr.の人気グループ」という看板まで出してもらったMステKAT-TUNバック。
・途中参加でも必要だからと代役を立ててまで起用してくれた「滝沢歌舞伎」
・桃山ビートトライブの縁から主役級の扱いで招いてくれたWBB「Secret Code」
・異例の大抜擢となる劇団新感線「メタルマクベスDisc2」
・オリジナル曲にオリジナル衣装、Jr.コーナーまで用意してくれたKAT-TUN「Cast」ツアー
各メンバーはそれぞれの仕事に精いっぱい向き合う中で、グループとして「今後の宇宙Sixをどうしていくか」という危機感は全員にあったのではないか。
それが「合宿」という行動につながった。
30歳前後の10年以上キャリアのある良い大人がいまさらメンバーだけで強化合宿を行う。これって結構すごいことだと思っている。「夜は宴会で~」「温泉も楽しんで~」とかじゃなくガチの合宿。
朝のランニング・筋トレから始まり4時間踊った後にアクロバットの特訓をし、夜は演出の会議。これはキツイ。私ならやりたくない。
でも彼らは自らその選択をした。
そしてその結果グループとして得たものは何だったのか。
Summer Paradise2018はその成果を披露する場でもあった。
結果として彼らは「変化」ではなく「進化」を選んでいた。
セットリストの中で共通コーナーのぞく曲数は23曲(うちオリジナル曲は2曲)。
その中で過去に宇宙Sixとして披露したことがある曲が6曲入っている。
オリジナル曲をのぞいて6/21が既存曲の焼き直し。しかもメドレー内ではなくほとんどが1ハーフサイズでしっかり演出振付を付けている。これは見ていてかなり多く感じる。
しかし、その6曲全てがパワーアップしているのに驚いた。もちろん人数が変わった分フォーメーションや歌割が変化しているが、それ以上に細かな振付や絡みがブラッシュアップされていて以前見たときよりずっと良くなったと感じた。5人になって4か月しか経っていないと思えないほど絵としてまとまっていた。
林くんの存在を無くすのではなく、林くんがいたことも宇宙Sixの大切な軌跡として残す。その上で敢えて同じ曲をやることで進化した姿を見せてくれたのだと思っている。
宇宙Six結成後、1番最初に歌った「Asterisk」。そしてThey武道時代からアイコン曲であった「Yes?No?」を最後にもってきたことが、6人だったことを無かったことにしない何よりのメッセージだった。
優しい人たちだな、と思った。
彼らのスキルならファンが喜びそうな曲を持ってきて全く新しい宇宙Sixのコンサートにすることもできたはず。それでも今まで登ってきた道を否定せずに一歩一歩また歩んでいく選択をした。優しくて、不器用な人たちだった。
原くん、目黒くんはきっとやりたい曲たくさんあっただろうな。原くんがずっと言ってる「Day Breaker」はできる日がくるのかな。いっその事このまま「毎回原くんのDay Breakerが却下される」ネタとして続いていってほしい気もする(笑)
それでもこのグループにいてくれてありがとうね。このお兄さんたちと運命を共にする選択をしてくれてありがとう。「俺は宇宙Sixと運命共同体なんだ」「アラサー兄さんたちと同じ運命を背負ってる」「常に進化し続けるグループでいたい」こんな風に言ってくれる若手がいてくれて本当に心強い。
「目黒が宇宙Sixのセンター」と雑誌で言っているのを何度か見かけたけど、今回の公演では誰がセンターでもしっくりくるのが宇宙Sixの良いところだった。せっかく5人という必ずセンターが必要な人数になったのだから、曲のイメージによってセンターを変えても良いのかなと思った。今後の方向性に注目していきたい。
と、ここまで語りましたがこの先は個人的ハイライトを曲ごとに振り返ってみます。
Family~ひとつになること
宇宙Sixは全体的に歌唱力が高いが、特に若手2人の歌の安定感は良い武器になっている。その2人に長いソロパートを任せたこの曲はお兄さんからのプレゼントのようだった。丁寧に丁寧に、心を込めて歌い上げる原くん・目黒くんの姿にグッときた。
特に大サビ前の2人のソロ
「つなぎ合わせたいまは ひとりだけのものじゃない この景色は数々の犠牲を越えた希望の海」
無所属から抜擢されて宇宙Sixに入った2人。今までの仲間と離れ、大先輩の中で悩み、時にぶつかり、多くの人に支えられて宇宙Sixを続けてきた。
この時、若手2人を3階ステージに残して他の3人は1階に移動してる。
TDCホールの中で2人だけが浮かび上がっている風景は、宇宙Sixに入る前からシンメとしてお互いに切磋琢磨し支え合っていた2人の強い思いが心に刺さるようなシーンだった。
2012年 SUMMARY
ジュニアマンションの上の端。「いつか地上に降りてやる」と誓ったTDCの空中からの景色。
2016年 菊池風磨「風 are you?」
初めてメインバックとして経ったTDCの2列目からの景色。
そして今年
自分のグループのコンサートでTDCの1列目、0番に立っている。
原くんが言葉に詰まりながら噛み締めるように話す自分の物語。その思いは戦友の目黒くんしかわからないだろうし、目黒くんと2人で歩んできた歴史に光る、血と汗と涙のかたまりだ。
Crush(山本&原)
アクセントダンスから体力の隅の隅まで使い切るような激しいUNLOCKを終えた後に持ってきたこの曲。一言でいうと「ドMすぎる」。
満身創痍の2人が自分の中にあるダンスへの情熱を振り絞るように激しく全身を使って歌い踊る姿に息を飲んだ。
2つのダンスへのプライドがぶつかり合って、はじけて、燃え立つような熱気に変わっていく。その陽炎に圧倒される。
最後にお互いの胸倉をつかんで挑むような視線をぶつける二人。宇宙Sixのダンスを牽引していくであろうベテランと新人が持つ不屈の精神を目の当たりにし、ジャニーズがジャニーズとして輝く所以をまざまざと見せつけられた。
超競争社会であるジャニーズJr.の中で、顔が良い、ダンスがうまい、歌がうまい、なんていうのは表面的なことであり、生き残っているメンバーには総じて「誰にも負けない」という強い意志が隠れている。
普段はキラキラに紛れて見えないそんな泥臭い感情がむき出しになるような貴重なパフォーマンスだった。
そして、原くん。A.B.C-Zの曲をやれて良かったね(親心)。
UNLOCK
今回の単独コンサートを代表する1曲。最初に今回は「進化」のコンサートだったと書いたが、この曲は「変化」を示していた。
冒頭に下手から流れるようなアクロバットで全員が登場。横並びになって「せーの」でバク転ではなくそれぞれがそれぞれのアクロで台風のように出てくるのがめちゃくちゃかっこよかった。いままで先輩のライブでもこのアクロのパターンは見たことが無い。
宇宙Sixのアクロバット隊長であり、コレオグラファーでもある山本くんが振付したこの曲。「一瞬のスキも妥協しない」という気合いがガンガンに伝わってくる。
黒パーカーのフードをかぶることで「姿隠して個を隠さず」のパフォーマンス。背格好・ダンスの個性が全員バラバラな宇宙Sixだからこそできる魅せ方。
正直、振付は早すぎてあんまり覚えてない。細かく関節や指を動かす動きがあったかと思えば大胆に全身を使う動きもあり。黒い5つの物体が得体のしれない生き物のように拡大縮小を繰り返しており、一種の不気味ささえあった。
バックの大型ビジョンが幾何学模様を繰り返す映像になっており、白と黒の映像が照明と相まって会場中にフラッシュ炊いたような景色を発生させ、サビの疾走感を際立たせていた。これはまさしくKAT-TUNさんのやつ。KAT-TUNイズム。
大サビ前のソロパート。抜かれていないメンバーが後ろを向いてとにかく辛そうな顔をしている。肩で大きく息をし全身で酸素を必要としている。そんな表情。そして自分のパートが来ると一瞬にしてアイドルの顔に戻る。
そのコントラストが「UNLOCK」であり、白と黒であり、宇宙Sixの覚悟だった。
良くも悪くも優等生だった宇宙Sixが戦っている。新しい自分たちを作ろうとしていた。
今の5人の宇宙Sixのまさに自己紹介のようなスペシャルかっこいい演目。
私はちっちゃくてかわいいお兄ちゃん達がオラオラするの似合うと思うよ!(目黒くんへの私信)
GOLD~I・ZA・NA・I・ZU・KI~Now and forever
これぞ宇宙Sixの醍醐味。和装×殺陣といえば宇宙Sixみたいなところある。
衣装がまた素晴らしい。和テイストながら片腕がノースリーブ、もう片腕が袂が長く作られている袖になっている。
江田くんの袖を萌え袖丈にした人にお歳暮を贈りたいのですがどうしたらよいですか。
江田くんがノースリーブの腕に刀を構え、反対の手は4本の指で袖口をそっとつかんでいる。ギャップ萌え&指先まで造形を考えているその細かさに意識が遠のきそうになりました。
赤い番傘を肩に乗せ、山車に颯爽と登場した和装の5人を見て「お、これはもしやJaponesque(嵐)くる?!」と思ったら、まさかの「GOLD」!!攻撃的な曲調に合わせて激しい殺陣がそこかしこで繰り広げられていて瞬きをする余裕すらない。殺陣が速い!動きが激しい!めちゃくちゃかっこいい!!!
舞台に障子が置かれていて、そこから出たり入ったりしながら殺陣が行われるのも歌舞伎の大立ち回りを見てるみたいで迫力がすごい。
刀を持ちながら歌って踊ること自体難しそうなのに、宇宙Sixがすごいなあと思うのは5人で中心に集まった時も刀を振る振付がある。一歩間違ったら隣や前後の人の体や剣先に自分の剣が当たるので細心の注意が必要。それをなんなくやってしまう宇宙Sixは空間把握能力がずば抜けてるといつも驚かされる。
息をのむほどの切り合いが終わったと思ったら
「Get Away 月夜に隠れて Be Silent いざなう夢に咲く We just can Get Away」
キ、キターーーー!!!I・ZA・NA・I・ZU・KI!!
湾岸Liveでも披露したI・ZA・NA・I・ZU・KI。だけど全然違う。
会場中がその美しさに魅了され声のない声を上げた障子演出。ツイッターで「Jr.のレベルじゃない」と書いている方がいましたが、ドームクラスでやっても遜色ないほど美しい障子と照明のコントラスト。そこから切ないメロディを口ずさみながら順番に出てくるメンバー達。一瞬にして幻想的で刹那的な空間を作り出した会場に響き渡る松本幸大くんの叫び声。
ただただ見惚れることしかできない。見惚れてため息を漏らすことしかできない。美しい美しい空間がそこにあった。
その後の松本幸大くんのアカペラを合図にブワーッと空間を広げ解放されるようにたくさんの優しい光に包まれた「Now and forever」。まるで一つの物語を見たような幸福感が広がる風景。ここがTDCで、ここがジャニーズJr.のコンサートだということを忘れさせるような。宇宙Sixが作り出す物語の風景の一員になっているような不思議な感覚に包まれた。
UNIVERSE
KAT-TUNからもらった大切な大切なオリジナル曲。現在ツアー中の「Cast」の中でJr.コーナーを作ってもらいそこで披露している。
すごくKAT-TUNぽい曲。大サビで半音あがってかなり高いキーで叫ぶように歌うところなんかとてもKAT-TUNぽい。中丸くんの高音が聴こえる気がする。
パフォーマンスも非常に激しく、大サビでは全員がヘッドバンキングするんじゃないかという勢いで音に乗って暴れている。
どのような経緯でこの曲が選ばれたのかはわからないけど(上田くんがどこまで関わっているのかも)、宇宙Sixのオリジナル曲としてはある意味意外で。だからこそすごく好き。
これまでの宇宙Sixの経歴を見たらもっと違う曲調もありだったと思うんです。例えば「花言葉」のように明るいラブソング、「Oh Yeah!」のように爽やかな盛り上げソング、「Lily-White」のような大人セクシー。
いままでの舞台班優等生イメージの宇宙Sixで考えられるような曲ではなく、あえて攻撃性を全面に出したこの曲を。三十路前後のキャリア組、そしてその兄さん達と運命を共にした若手が叫ぶように歌うことに意味がある。
長年ジャニーズという板の上で戦ってきたプライド、そこらの若者にはまだまだ負けない。そんな熱い思いが透けてみえるような大人の青春がそこにあった。
泥臭いかもしれない、笑われるかもしれない。それでも戦い続けることを選んだ5人を応援できることを誇りに思う。
最後に
宇宙Sixは1年前の5月に初めて単独コンサートをした。そこから1年と少し。
こんなに舞台出演に恵まれると思っていなかったし、メンバー全員で外部舞台の客演ができるとも思っていなかった。そして、まさかメンバーが5人になると思っていなかった。
たかが一年。されど一年。
最後のサマパラテーマ曲を聴きながら「もしかしたらこれが最後になるかもしれないな」とじんわり感じた。何かを確信したということではなく、ジャニーズJr.を応援するということはそうゆうことなのだ。
単独があること、パフォーマンスを見れること、姿を見れること。
当たり前じゃない。
努力と声援と偶然と奇跡が集まってこの空間ができている。
「5人で集まって。本当に幸せだね。」
「こういう時間をもっと作っていきます。皆さんの声援が必要なのでこれからもよろしくお願いします。」
最後の松本くんの言葉。簡単だけどありきたりかもしれないけど、でも本当にこうゆうことだと思う。
該当グループのすべてのJr.担が駆け抜けた平成最後の夏。Summer Paradise。
みんなの目に映った彼らの勇姿を、キラキラと命を削って輝いたこの夏を。
記憶の大切な1ページとして、いつまでもいつまでも眩しく煌めいていますように。
セットリスト(おまけ)
覚書用にセットリストを貼っておきます。
宇宙Six サマーパラダイス セトリ
Summer Paradise
仮面舞踏会
パラダイス銀河
硝子の少年(3階ステージ)
NON STOP‼
~歴代TDC映像~
UNIVERSE
喜びの歌(客席降り)
ONE DROP(バクステ)
Hair
アクセントダンス(山本→松本→目黒→原→江田)
UNLOCK
Crush(山本原)
RESCUE(江田松本目黒)
TAKE ME HIGHER
~和コーナー~
GOLD(殺陣)
I・ZA・NA・I・ZU・KI(障子演出)
Now and forever (松本アカペラ)
千年のLove Song
MC
花言葉(椅子、ティータイム、赤いバラ)
ハダシの未来(フロート)
渚のお姉サマー
Ho!サマー
ジェットコースターロマンス(巨大風船、客席降り)
Summer上々‼(バクステ)
夏のカケラ(バクステ)
Endless summer (客席降り)
メンバー映像
Shine
Asterisk
Yes?No?
Family~ひとつになること (3階ステージ)
Born in the EARTH
Power of Paradise
~アンコール~
Summer Paradise
~ダブルアンコール~
UNINERSE
選曲、振付、演出は「ダンススクエア vol.27」より